柔らかな日差しの中で
雪深いニセコにも、春の気配が感じられるようになってきた。雪が徐々に溶けてゆくと土の香りとともに小さな芽が顔を出しているのに気づく。白一色に染まっていたニセコは少しずつ色を取り戻し、春の息吹が静かに広がっていく。楽 水山のアプローチにはお香が焚かれ、春を感じさせる甘く清楚な香りがほのかに漂う。
ロビーには色鮮やかな花が飾られ、差し込む柔らかな日差しはほんのりと暖かい。長旅を経て到着したお客様に供される「お着き菓子」は、ばいこう堂の和三盆糖の干菓子と宇治の抹茶。抹茶のほろ苦い味わいとタンポポをかたどった干菓子の甘さが身体をいたわる。
ゴルフやアウトドアアクティビティを楽しんで宿に戻ったお客様には焼き菓子と飲み物を用意。焼き菓子は北海道産のバターや小麦粉を使ったオーセントホテル小樽謹製。羊蹄山の水とレモンやキウイなどのドライフルーツを使ったデトックスウォーターが清々しく、まだ冷たさの残る外の空気に触れて疲れた身体をリフレッシュさせてくれる。


楽 水山はすべての部屋に四季を表す名前が付いている。春には春の部屋に滞在するのも愉しみのひとつ。全18室のうち春の部屋は桜、萌黄、山吹、早蕨の4室。今回はそのうちの「萌黄」を紹介する。
萌黄は日本の伝統色で、緑色を基調に黄の要素が少し加わった黄緑色。柔らかさと穏やかさを持ちつつ、若葉や新芽のような雰囲気を感じさせる明るく生き生きとした色合いだ。自然の新鮮さ、芽吹きのエネルギーや若々しさを連想させる。
入り口には萌黄色の色重ねのプレート、引き戸を開けると、障子越しに差し込む明るい光に包まれた木の温もりあふれる空間が広がる。「暮らすように滞在する」という理念のもと、ゆったりと配された調度品、広々としたベッド、たっぷりの収納、最新の洗濯機、浴衣とパジャマの両方を用意するなど、長期滞在に配慮したさまざまな設えだ。
萌黄の浴槽は木の香りが立つ檜造り。昼間の湯浴みも温泉宿の楽しみのひとつ。滔々と源泉がかけ流される湯船に身を沈め、天井まで届く開放的な窓を開け放ち、外の空気に触れながら春の景色を眺めるのも一興。頬をなでる風は冷たいが、濃厚な源泉が体の芯まで温まる。


長期滞在の楽 水山では、宿泊客を飽きさせないよう3つの食事処を用意。「ゆきあい亭」では、従来のフレンチ、和食、などのジャンルにとらわれず、シェフの自由な発想で食材や調理法を組み合わせるイノベーティブ料理を提供。
「入舟」での日本料理か「海王」での鉄板焼きも選べる。楽 水山では生産者から直接仕入れたり、料理人自ら直売所に足を運んで厳選する、地元を中心とした旬の食材をふんだんに使用。食材と真摯に向き合い、それぞれの魅力を引き出した滋味あふれるコースを楽しめる。
春は山菜の季節。フキノトウ、コゴミ、ウド、タラノメなどさまざまな山菜が芽吹く。春の楽 水山は山菜を使った料理が数多く提供される。
ゆきあい亭のある日の前菜は春を告げる魚・ニシンとウドを使った一皿。ヴィネガーで軽く締めた小樽産の新鮮なニシンはしっとりと柔らかく、ニシンの下に隠れたウドとリンゴのサラダはサクサクとした食感で、ほろ苦いウドと爽やかな甘さのリンゴ、ニシンの旨味が口の中で一体となり軽やかなハーモニーを奏でる。菊の花の黄色とディルの緑も清々しいアクセントだ。
鉄板焼「海王」で提供するコースの魚料理はサクラマスの塩釜焼き。塩の上に桜の葉を敷きサクラマスの身を乗せてじっくりと蒸し焼きにする。焼ける音と共に漂う香り、ステーキカバーを外した瞬間に立ち上る湯気。調理の様子が目の前で見られる臨場感は料理への期待を高めてくれる。白味噌を隠し味に入れたクリームソースとフキノトウと合わせた焦がしバターソースを添えて完成だ。ほんのり桜の香りをまとったサクラマスはクリームソースでリッチな味わいに。焦がしバターソースのフキノトウがほろ苦さを演出する。春の訪れを感じさせる一皿だ。
伏原 直政
世界を惹きつけるニセコの圧倒的な自然。この地で鉄板に向き合い、10年の月日が流れました。私が大切にしているのは、選び抜かれた旬の食材が、鉄板の上で「最高の瞬間」を迎えるための橋渡しをすること。
カウンター越しに交わされるゲストとの対話、目の前で上がる歓声こそが私の原動力です。
日本料理「入舟」の1品目はヤリイカと山菜に松の実を使ったタレをかけた小鉢。コゴミとタラノメの緑が目に鮮やか。とろりとしたタレをからめて口に運ぶと旬のヤリイカの柔らかさと山菜のサクサクした食感が絶妙なコントラスト。旨味とコクのある松の実のタレが全体をまとめて贅沢な味わいを作り出している。食べるペースに合わせて1品ずつ目の前で仕上げられる料理はどれも繊細で美しく目を楽しませてくれる。料理人との会話も楽しめるのもカウンターの醍醐味だ。心を込めた和のもてなしがここにある。


杉村 正明
ニセコの農産物や近海の魚介類など、この地に移り住みたくさんの食材に触れてきました。
私が大切にしているのは、旬の食材とお客様を繋ぐ「架け橋」になるということです。
その想いを一皿に仕上げ、表現しています。
季節とともに変わりゆく料理を、どうぞお楽しみください。
夜のロビーラウンジに本格的なバーが開く。バーテンダーが宿泊客のために心を込めて作る一杯のカクテルは、夕食後の愉しみのひとつだ。
今の季節のおすすめはアップルハイボール。ニッカウヰスキーを代表する銘柄「シングルモルト余市」に、余市特産のリンゴ100%のジュースを加えて炭酸で割り、ミントとレモンを添えて完成だ。ニッカの原点は1934年に設立された「大日本果汁株式会社」。ウイスキー造りにかかる時間は最低でも3年以上。ウイスキーが熟成して出荷できるようになるまでの間経営を支えたのは「ニッカ林檎汁」、すなわちリンゴジュースだ。余市産のウイスキーとリンゴは歴史に裏打ちされた最高のペアリングと言える。
余市のスモーキーフレーバーでリンゴの甘さが和らぎ、飲みやすくて後味はスッキリ。ミントの香り、レモンの酸味も加わり春にぴったりの爽やかな味わいで、料理に合わせて食中酒としても楽しめる一杯だ。


雪深いニセコにも、春の気配が感じられるようになってきた。雪が徐々に溶けてゆくと土の香りとともに小さな芽が顔を出しているのに気づく。
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雪の夜、嗜好を重ねる夕餉
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囲炉裏のぬくもり
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お迎えの一服と秋のお着き菓子
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2月4日に立春を迎えました。
まだまだ雪深いニセコですが、暦の上では「春」です。
羊蹄山の山懐風情を、春夏秋冬、動画でお届けします。
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根雪がきれいに溶け、川の水が豊かに大地の緑を濃くします。
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羊蹄山の山懐風情を、春夏秋冬、動画でお届けします。
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楽 水山に、二度目の春がやってきた。
羊蹄山の雪が解けだし、山懐の地表が水を吸い込んでいくと、ゆっくりと緑が広がってゆくのだ。
山頂の残雪と草花のコントラストがある季節は、少し冷たい風も心地よい。
四季の移ろいがはっきりしている日本の気候の中でも、ここ北海道の寒暖差がもたらす四季はその輪郭をくっきりと際立たせる。楽 水山を囲む原風景も、四季折々の自然の彩りをおもてなしに映してお客様をお迎えしているのだ。
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ニセコ樺山の里には雪がしんしんと降りながらも、2月に感じることは、陽の光がやわらかくあたたかくなってきたことだ。極寒の地で生きる命たちが、ささやかに春を知らせている。その足音に耳を澄ませ、料理へと紡ぎ上げる一皿だ。
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ここニセコに降る雪は「パウダースノー」と呼ばれ、雪に触れてみると水分を感じることもなく軽いのだ。溶けずにさらさらと手のひらからこぼれていく。ゆっくりとした時間が流れる里山の暮らしは豊かで、凛とした冬はなおのこと気持ち良い。少し長い滞在で、雪のある暮らしを愉しみたい。
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日本は温泉資源に恵まれ、古来から独特の湯治文化がある。
長い滞在を通し、温泉の効能で心身を整えていく保養・療養の原型とも言われているのだ。
ニセコの大地は雪に覆われ深い眠りにつく。しかし、眠っているかのような冬でも旬を迎える食材も豊富にある。冬の献立の数々が織りなす料理の魅力を存分に愉しみたい。
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北海道に秋が訪れた。晴れた日でも頬をなでる風は冷たく、日に日に夕暮れが早まってくる。しかし、秋は「実りの秋」というだけあって種類豊富な食材が収穫期を迎え、恵みをもたらしてくれる。
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鉄板焼きで味わう秋の食材。
「素材を見る」、「焼く音を聞く」、「香ばしさ」、「旨味」、「触れる」五感を刺激する料理。
人類は古代より調味料として、食品を保存するための手段として「発酵」という技法を育んできた。日本最古の調味料といわれる酢をはじめ、日本の食に欠かせない醤油、味噌、みりんは発酵調味料だ。いずれも昔ながらの日本の味、日本人の原点の味だ。
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ニセコは一気に緑が深くなってきた。
北海道らしい食材があふれる季節の到来だ。
悠久の時の流れの中で、密やかに育まれてきたニセコの自然。その力によって生まれる折々の表情の変化の積み重ね、幾千幾万の繰り返しの果てに創り出され、今に至るニセコの風景。羊蹄山とアンヌプリの二山を望み、ニセコの大自然と融合した趣深い里山の情景に溶け込む「楽 水山」。
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手つかずの雄大な自然と、そこに暮らす人々のささやかな営みが作り出した風景が融合する後志しりべし地区やニセコの風景。
圧倒的な自然の力によって生み出される四季折々の表情は、見る人を魅了し感動をもたらす。