発酵

- 日本の原点の味 -

発酵 – 日本の原点の味 –

人類は古代より調味料として、食品を保存するための手段として「発酵」という技法を育んできた。
日本最古の調味料といわれる酢をはじめ、日本の食に欠かせない醤油、味噌、みりんは発酵調味料だ。
また、漬け物、納豆、鰹節、塩辛、鮒ずしなどは発酵の力を利用して保存を可能にしている。
いずれも昔ながらの日本の味、日本人の原点の味だ。

「発酵」を加えて一皿に仕上げたある日。
盛夏に旬を迎える食材の数々に発酵食品を合わせ、洗練された料理に昇華していく。

「ニセコ産とうもろこしと甘酒のだし汁摺流し仕立て 雲丹帆立」

この日の椀物は、「ニセコ産とうもろこしと甘酒のだし汁摺流し仕立て 雲丹帆立」。
ホタテの貝柱にウニを鋳込んで蒸し上げ、とうもろこしと甘酒のだし汁をかけた一品だ。
噴火湾産のホタテは肉厚で弾力があり、濃厚なバフンウニとの相性抜群。
中心にレアを残したホタテに包まれたウニは微かに火が入り風味が増し、両者が一体となって口の中に極上の旨味が広がる。
そこに爽やかな甘さのとうもろこしに甘酒の酸味とコクが加わり、どこか懐かしく奥深い味わいに仕上げている。
添えられたニセコ産の白オクラはサクサクとした食感を加え、仕上げの青ゆずが夏らしさを演出している。
暑い盛りにさらりと食する嬉しい椀物だ。

「近海メジマグロの天ぷら 花穂 酒粕と味噌のソース」

メインには、「近海メジマグロの天ぷら 花穂 酒粕と味噌のソース」。
メジマグロはクロマグロの幼魚の通称で、しっとりとした身と幼魚ならではの淡白な味わいが特徴だ。メジマグロの柵に薄衣をまとわせてサッと揚げ、地元の酒蔵「ニセコ酒造」の酒粕で作った合わせ味噌を添えた一品だ。
揚げたメジマグロは、適度に水分が抜けて味が凝縮され油が加わり力強い味わいになる。
合わせ味噌の酒粕は酸味と甘みを加え濃厚さが増す。もう一つの、ニセコ産自然卵を使った黄身酢はさっぱりさせてくれる。添えられた花穂の苦みがアクセント。
目にも舌にも涼やかな夏のご馳走だ。

北海道の短い夏。今を食する醍醐味がある。

ライター 吉田 弥生 / フォトグラファー 榊山 元

和の料理人
田安 透 Toru Tayasu

日本の調味料の基本である「麹」に含まれる酵素は、食材の甘味と旨味を引き出す力があります。
身体に良いとされる「麹」は万能で、昔から里山の知恵のように食に沿ってきました。
夏の北海道らしい力強さと、口にした時のやさしさを感じてください。

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    人類は古代より調味料として、食品を保存するための手段として「発酵」という技法を育んできた。日本最古の調味料といわれる酢をはじめ、日本の食に欠かせない醤油、味噌、みりんは発酵調味料だ。いずれも昔ながらの日本の味、日本人の原点の味だ。

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