五感

– 鉄板焼きで味わう秋の食材 –

五感 – 鉄板焼きで味わう秋の食材 –

食材の宝庫・北海道。緑豊かな広大な土地は肥沃で、四季折々の恵みをもたらしてくれる。
ニセコ、後志(しりべし)の近海からは多種多様な魚介類が水揚げされる。
北海道の自給率は高く食材が豊かだ。道内には世界に誇れる地域ブランドの食材が溢れている。
北海道は日本の食糧庫といえるだろう。

9月のテーマは「五感」。
北海道の食材の真価を味わってもらいたいと、鉄板焼きで最大限の魅力を引き出すことに心を砕く。
「素材を見る」、「焼く音を聞く」、「香ばしさ」、「旨味」、「触れる」五感に刺激を受ける。
鉄板焼き「海王」で、臨場感と共に愉しんでもらおうという趣向だ。

「オホーツク産タラバ蟹の炭火焼き」

北海道の旅ときいて料理に期待する食材のひとつに蟹がある。

この日の海の食材は、「オホーツク産タラバ蟹の炭火焼き」。
太く身がしっかりしている厳選したタラバ蟹の足を炭火で焼く。殻ごと時間をかけてじっくり焼くことで、蟹が殻で身を守りながら自身の水分でゆっくり蒸し焼きにされるのだ。
味が凝縮され、炭火の遠赤外線でふっくらと焼き上がる。シンプルな調理法だが、炭火を操り焼き加減を見極め最高の状態で供するのは熟練の腕がなせる技だ。

直径4センチを超える殻の中の身は肉厚で繊維が太い。柔らかく、食べ応えのある身は、噛むほどに磯の香りと濃厚な旨味が口いっぱいに広がる。炭火の香ばしさをまとったジューシーな蟹は、間違いなく北海道の味覚の代表格だ。

「美瑛“ファームズ千代田” びえい和牛」

鉄板焼きの王道、肉料理もしっかり味わいたい。
料理人を目の前に話しながら食するのも、この場所の醍醐味だろう。
表面はカリッと香ばしく、中はしっとりとレアに仕上げられたヒレ肉は柔らかい肉質に驚く。
そして肉汁が溢れ、上品な肉の味わいが味覚を悦ばせるのだ。

「ニセコ産南瓜のどら焼き」

デザートも鉄板で焼く、ささやかな驚きがある「ニセコ産南瓜のどら焼き」。
目の前の鉄板で生地を焼くと甘い匂いが漂う「海王」の名物だ。南瓜を使った濃厚なアイスクリームとつぶあん、生クリームを焼きたての皮で挟んだ一品。
南瓜はアイスクリームとの相性が良い品種を選りすぐり、ニセコ産の「味マロン」を使った。
優しい甘さで滑らかに舌の上で溶けるのが特徴だ。熱々の皮とアイスクリームの冷たさの対比も楽しい。
柔らかく炊いたつぶあん、ふんわりした生クリームとの相性も抜群。和と洋が混然一体となり、季節のどら焼きの魅力を引き出している。
見た目はシンプルだがコースを締めくくるにふさわしい味わいだ。

もうすぐ、秋本番を迎える北海道。
五感を研ぎ澄ませて秋の味覚の神髄を―――。

ライター 吉田 弥生 / フォトグラファー 榊山 元

洋の料理人
泊谷 智史 Tomofumi Tomariya

食材を手にした時、コンディションをみながら組み合わせや、どの調理法が美味しく仕上がるかを考えます。鉄板焼きは、最高の状態で手にした食材を最適なタイミングで火入れをすることで、旨味、香りなどを引き出す料理です。鉄板焼き「海王」で、北海道やニセコの食材そのものを五感でおたのしみください。

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    2月4日に立春を迎えました。
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    羊蹄山の山懐風情を、春夏秋冬、動画でお届けします。

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  • 五感2021/09/24

    鉄板焼きで味わう秋の食材。
    「素材を見る」、「焼く音を聞く」、「香ばしさ」、「旨味」、「触れる」五感を刺激する料理。

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  • 発酵2021/08/04

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  • 文月2021/07/09

    ニセコは一気に緑が深くなってきた。
    北海道らしい食材があふれる季節の到来だ。

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  • 太始2020/12/01

    悠久の時の流れの中で、密やかに育まれてきたニセコの自然。その力によって生まれる折々の表情の変化の積み重ね、幾千幾万の繰り返しの果てに創り出され、今に至るニセコの風景。羊蹄山とアンヌプリの二山を望み、ニセコの大自然と融合した趣深い里山の情景に溶け込む「楽 水山」。

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  • 序章2020/02/03

    手つかずの雄大な自然と、そこに暮らす人々のささやかな営みが作り出した風景が融合する後志しりべし地区やニセコの風景。
    圧倒的な自然の力によって生み出される四季折々の表情は、見る人を魅了し感動をもたらす。

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宿