彩り

– 二十四節気を映すおもてなし –

彩り 二十四節気を映すおもてなし

四季の移ろいがはっきりしている日本の気候の中でも、ここ北海道の寒暖差がもたらす四季はその輪郭をくっきりと際立たせる。
それゆえに刻々と移り変わる季節の表情も豊かで見飽きることがない。
しかしその表情はともすれば見落としてしまいそうなくらい細やかにささやかだ。
楽 水山を囲む原風景も、四季折々の自然の彩りをおもてなしに映してお客様をお迎えしているのだ。

車を降り、最初の扉を開けるとほんのりとした香りが鼻をくすぐった。玄関までのアプローチは石造りの仄暗い廊下で、香りをたどっていくと茶香炉が目に留まる。冬はほうじ茶、夏は煎茶など、季節ごとに茶葉を変えて香ばしさや清涼感のある季節のおもてなしが迎えてくれた。

二つ目の扉を開けると、そこが楽 水山の玄関だ。仄暗さから転じて自然光が広がり真っ先に目に映ったのは、シンプルな焼き物の花器に生けられた花々だった。館内を彩るのはスタッフだという。地元の生花店に通い、この土地らしい花や枝物を選んでいるそうだ。楽 水山の敷地内に自生する草花を加えると、華やかさと素朴さ、力強さ、しなやかさが相まって繊細な表現になっている。

廊下の隅には、水が張られた鉢に草花が浮かび、先ほどの春の息吹を称えるような装花とは風情が異なっている。ラウンジの懐かしい火鉢は冬の役目を終えたのだろうか。ふきのとうが植えられていることが微笑ましい。どこかしこにも季節の植物が息づいている。

チェックインに案内されたラウンジの窓からは、絵画のように切り取られた風景が広がっている。羊蹄山の雄姿に流れる雲を見ながらゆったりした時間が在った。到着して、提供されたのはあたたかい抹茶と干菓子だった。まだ雪積るニセコにはその景色を思わせるぽってりした白い茶碗、梅の形の干菓子に、春を待ちわびる蝶の形の水引があしらわれる。
スタッフが結んだという水引などの飾りにもあたたかさを感じた。

スタッフが丁寧に手掛けた、楽 水山らしい「彩り」が、二十四節気の記憶に残って心地よい春の気持ちになった。

ライター 吉田 弥生 / フォトグラファー 榊山 元

コンシェルジュ 
谷 香織 Kaori Tani

原風景や自然界が織りなす「彩り」と、和の心を結ぶように装飾をしています。
ニセコの情緒豊かな季節の変化を通じて、日本の美と心を感じていただけますようお客様をお迎えしています。

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  • 太始2020/12/01

    悠久の時の流れの中で、密やかに育まれてきたニセコの自然。その力によって生まれる折々の表情の変化の積み重ね、幾千幾万の繰り返しの果てに創り出され、今に至るニセコの風景。羊蹄山とアンヌプリの二山を望み、ニセコの大自然と融合した趣深い里山の情景に溶け込む「楽 水山」。

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