– 凛とした冬を愉しむ –
北海道内でも、ここニセコに降る雪は「パウダースノー」と呼ばれ、世界中のスキーヤーを魅了してやまない。
雪に触れてみると水分を感じることもなく軽いのだ。溶けずにさらさらと手のひらからこぼれていく 。
軽やかな粉雪に包まれた羊蹄山や大地を、陽の光が照らす様子をただ見ているだけで心があたたかくなっていくようだ。
雪が景色を包み、寒さが最も厳しい1月。
景色と共鳴するように創られたメインの肉料理が「びえい和牛の炭火焼とニセコ産ゆり根」だ。
美瑛の生産者から選りすぐりの和牛を直送してもらい、今回は希少なヒレを使っている。弱火の炭火で火を通していく。熱の入り具合いを慎重に見極め何度も休ませながらゆっくりと焼かれた塊肉は、肉汁を完璧に閉じ込めて中は艶やかなロゼ色の仕上がり。ナイフを入れると新雪に踏み込むように抵抗なく切れていく。口に入れると肉汁があふれ淡雪のように溶ける柔らかさ。豊かな肉の旨味と上品な香りが広がる。塩だけの味付けで肉の味わいを極限まで引き出している。
ソースとして牛の筋や骨をたっぷりと使って取ったジュ・ド・ブッフ(牛の出汁)と、ゆり根のピュレを敷き、牛肉と同じ牧場で作られたバターで煮たゆり根を添えた。ピュレが積もった雪を、バターソテーが舞い降りるひとひらの雪を思わせる。輝くロゼと2種類のホワイトのコントラストも美しい。シンプルだからこそそれぞれの食材の良さがしみじみと感じられる。雪景色を眺めながら味わうのも一興だ。
メインの魚料理は「蝦夷アワビとニセコ産ななつぼし」。冬に旬を迎える積丹産の大ぶりの蝦夷アワビを丸ごと1個使った贅沢な一品だ。
ニセコ産の米をアワビの肝とブイヨンで炊き、同じ蝦夷アワビの肝を合わせる事によるコクと旨味を演出。最後に一口大にカットした生の蝦夷アワビをサッと絡めて完成だ。蝦夷アワビはリゾットの熱でほんのりと火が入り中心部はレア。表面のしなやかさと中のコリコリとした歯ごたえ、フレッシュさを残しながら、火を通したことで穏やかになった磯の香りが楽しめる。あしらいの木の芽の爽やかさがいいアクセントだ。アルデンテに炊かれた米と蝦夷アワビは滋味にあふれバランスが絶妙だ。肝で色づいた優しい色合い、とろりと温かいリゾットは寒さを忘れさせてくれる。
ゆっくりとした時間が流れる里山の暮らしは豊かで、凛とした冬はなおのこと気持ち良い。
少し長い滞在で、雪のある暮らしを愉しみたい。
ライター 吉田 弥生 / フォトグラファー 榊山 元
洋の料理人
泊谷 智史 Tomofumi Tomariya
~ 牛肉を焼く日まで ~
生産者からフレッシュの状態で仕入れた肉を紙で包み、余分な水分を抜きながら毎日紙を交換してベストなコンディションになるよう手を掛けていきます。最高の状態だと思える瞬間を見極め、良い食材を良い状態で料理にすることが大切な事だと思っています。
2月4日に立春を迎えました。
まだまだ雪深いニセコですが、暦の上では「春」です。
羊蹄山の山懐風情を、春夏秋冬、動画でお届けします。
READ MORE根雪がきれいに溶け、川の水が豊かに大地の緑を濃くします。
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READ MORE楽 水山に、二度目の春がやってきた。
羊蹄山の雪が解けだし、山懐の地表が水を吸い込んでいくと、ゆっくりと緑が広がってゆくのだ。
山頂の残雪と草花のコントラストがある季節は、少し冷たい風も心地よい。
四季の移ろいがはっきりしている日本の気候の中でも、ここ北海道の寒暖差がもたらす四季はその輪郭をくっきりと際立たせる。楽 水山を囲む原風景も、四季折々の自然の彩りをおもてなしに映してお客様をお迎えしているのだ。
READ MOREニセコ樺山の里には雪がしんしんと降りながらも、2月に感じることは、陽の光がやわらかくあたたかくなってきたことだ。極寒の地で生きる命たちが、ささやかに春を知らせている。その足音に耳を澄ませ、料理へと紡ぎ上げる一皿だ。
READ MOREここニセコに降る雪は「パウダースノー」と呼ばれ、雪に触れてみると水分を感じることもなく軽いのだ。溶けずにさらさらと手のひらからこぼれていく。ゆっくりとした時間が流れる里山の暮らしは豊かで、凛とした冬はなおのこと気持ち良い。少し長い滞在で、雪のある暮らしを愉しみたい。
READ MORE日本は温泉資源に恵まれ、古来から独特の湯治文化がある。
長い滞在を通し、温泉の効能で心身を整えていく保養・療養の原型とも言われているのだ。
ニセコの大地は雪に覆われ深い眠りにつく。しかし、眠っているかのような冬でも旬を迎える食材も豊富にある。冬の献立の数々が織りなす料理の魅力を存分に愉しみたい。
READ MORE北海道に秋が訪れた。晴れた日でも頬をなでる風は冷たく、日に日に夕暮れが早まってくる。しかし、秋は「実りの秋」というだけあって種類豊富な食材が収穫期を迎え、恵みをもたらしてくれる。
READ MORE鉄板焼きで味わう秋の食材。
「素材を見る」、「焼く音を聞く」、「香ばしさ」、「旨味」、「触れる」五感を刺激する料理。
人類は古代より調味料として、食品を保存するための手段として「発酵」という技法を育んできた。日本最古の調味料といわれる酢をはじめ、日本の食に欠かせない醤油、味噌、みりんは発酵調味料だ。いずれも昔ながらの日本の味、日本人の原点の味だ。
READ MOREニセコは一気に緑が深くなってきた。
北海道らしい食材があふれる季節の到来だ。
悠久の時の流れの中で、密やかに育まれてきたニセコの自然。その力によって生まれる折々の表情の変化の積み重ね、幾千幾万の繰り返しの果てに創り出され、今に至るニセコの風景。羊蹄山とアンヌプリの二山を望み、ニセコの大自然と融合した趣深い里山の情景に溶け込む「楽 水山」。
READ MORE手つかずの雄大な自然と、そこに暮らす人々のささやかな営みが作り出した風景が融合する後志しりべし地区やニセコの風景。
圧倒的な自然の力によって生み出される四季折々の表情は、見る人を魅了し感動をもたらす。