収穫

– 北海道の実りを味わう –

収穫 – 北海道の実りを味わう –

北海道に秋が訪れた。晴れた日でも頬をなでる風は冷たく、日に日に夕暮れが早まってくる。
しかし、秋は「実りの秋」というだけあって種類豊富な食材が収穫期を迎え、恵みをもたらしてくれる。
新米をはじめ、秋に旬を迎えた地元周辺で採れる食材を中心に組み合わせ、北海道の魅力を堪能できる料理に仕立てていく。

「ニセコ産米ナスと日高産銀聖のふわふわ揚げ 新いくらのあんかけ」

この日の一皿は「ニセコ産米ナスと日高産銀聖のふわふわ揚げ 新いくらのあんかけ」。

銀聖とは、黒潮と親潮が合流する日高の豊かな海で産卵に向けて栄養を蓄えた秋鮭の中でも、上質なものを選りすぐったブランド鮭だ。
比羅夫(ひらふ)産の平飼い卵で作ったメレンゲと合わせてふわふわのすり身にして、ニセコ産の丸々と太った米ナスに鋳込んで低温でじっくり揚げ、自家製のいくらの味噌漬けが入った餡をたっぷりかける。
仕上げに採れたての栗の素揚げを添えると完成だ。
銀聖のすり身は絶妙な火入れで、口の中でふわりと溶ける。
油との相性が抜群の米ナスはとろとろの舌触り。海の旬と山の旬が口の中で溶け合い、それぞれの旨味が融合する。
栗がコリコリした食感と自然な甘みを加える。
そこにいくらの味噌漬けのまろやかな塩味と、わずかな苦みを演出する菊の花の餡がすべてを包み込んで、秋の魅力を余すところなく引き出している。

冷えた空気を感じ始めるこの季節には、とろりとしたあんかけが温かく美味だ。

「札幌小別沢産プレノアールとニセコ町産はくちょうもち 鶏ガラと落葉のスープ仕立て」

メインの一皿は「札幌小別沢産プレノアールとニセコ町産はくちょうもち 鶏ガラと落葉のスープ仕立て」。

プレノアールとはフランスが原産の黒鶏で、弾力のある肉質とジビエにも似た野趣あふれる味わいが特徴。
緑豊かな札幌の郊外でプレノアールを育てている生産者が丸鶏の状態で、楽 水山だけに卸す希少な鶏だ。
そのもも肉を醤油ベースのタレに漬け込み、炭火でじっくりと焼き上げ、北海道の代表的なもち米「はくちょうもち」の新米で炊いたおこわを添え、プレノアールの鶏ガラ出汁をベースに、この時季しか味わえない落葉きのこを入れた熱々のスープをかけた。
炭火焼きの鶏肉は香ばしく、しなやかな弾力で濃厚。それを瑞々しいおこわが優しく受け止め、おろしたての本わさびが味を引き締める。
仕上げの直前に削った本枯節は旨味と香りが格別で、落葉と鶏ガラの旨味あふれるスープがすべてを調和させる。
それぞれ食材がお互いを引き立て、豊かな秋の味が口の中いっぱいに広がる。

北海道の紅葉は深いグラデーションが美しい。収穫の恵みを、楽 水山で。

ライター 吉田 弥生 / フォトグラファー 榊山 元

和の料理人
田安 透 Toru Tayasu

寒い冬を乗り越えるために、生命は栄養を蓄えます。人も食べ物も同じで、秋には越冬の準備をするためです。
秋に収穫された食材の凝縮された栄養と旨味を、あたたかい一皿に仕上げました。

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    2月4日に立春を迎えました。
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  • 収穫2021/10/20

    北海道に秋が訪れた。晴れた日でも頬をなでる風は冷たく、日に日に夕暮れが早まってくる。しかし、秋は「実りの秋」というだけあって種類豊富な食材が収穫期を迎え、恵みをもたらしてくれる。

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  • 五感2021/09/24

    鉄板焼きで味わう秋の食材。
    「素材を見る」、「焼く音を聞く」、「香ばしさ」、「旨味」、「触れる」五感を刺激する料理。

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  • 発酵2021/08/04

    人類は古代より調味料として、食品を保存するための手段として「発酵」という技法を育んできた。日本最古の調味料といわれる酢をはじめ、日本の食に欠かせない醤油、味噌、みりんは発酵調味料だ。いずれも昔ながらの日本の味、日本人の原点の味だ。

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  • 文月2021/07/09

    ニセコは一気に緑が深くなってきた。
    北海道らしい食材があふれる季節の到来だ。

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  • 太始2020/12/01

    悠久の時の流れの中で、密やかに育まれてきたニセコの自然。その力によって生まれる折々の表情の変化の積み重ね、幾千幾万の繰り返しの果てに創り出され、今に至るニセコの風景。羊蹄山とアンヌプリの二山を望み、ニセコの大自然と融合した趣深い里山の情景に溶け込む「楽 水山」。

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  • 序章2020/02/03

    手つかずの雄大な自然と、そこに暮らす人々のささやかな営みが作り出した風景が融合する後志しりべし地区やニセコの風景。
    圧倒的な自然の力によって生み出される四季折々の表情は、見る人を魅了し感動をもたらす。

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宿